家庭の太陽エネルギー利用

省エネ促進プログラムと、家庭での太陽エネルギー利用の紹介
2000/11 作製
<コンテンツ“家庭の太陽エネルギー利用”と“風力発電”は
          “高校の環境研修”に参加した経験をもとに作製しました。>
< もくじ >
太陽熱温水器
太陽電池
家庭の太陽エネルギー利用
太陽熱温水器
写真はサービスセンターに展示してある太陽熱温水器です。このタイプではガラス管(真空)の中にある黒い板の中を水が流れ、太陽熱の50〜60%が利用できます。温められた水は大きなタンク(普通は地下に置く)にためられ、シャワーなどでお湯が必要な時、水道水を温めるのに使います。6平方メートルで平均的な4人家族が年間に使用する温水の約半分を供給可能。その分だけ給湯用のエネルギー(石油やガス)が節約できるわけです。カールスルーエ市で約300の家庭が設置しています。
<6平方メートルの太陽熱温水器を設置する場合>
費用:約12000マルク(約60万円)
(その他の装置、設置費用込み)
補助金:3000マルク(約15万円)
太陽電池
写真はサービスセンターに展示してある太陽電池です。太陽電池の値段は太陽熱温水器に比べて割高です。2000年4月以前は太陽熱温水器と同じように、設置する時に補助が出ていました。しかし、夏に余分な電力が生まれてもそれを有効利用することができません。また、設置費用の高さから敬遠され、以前は20基ほどしか設置されませんでした。
<10平方メートルの太陽電池を設置する場合>
費用:約18000マルク(約90万円)
(その他の装置、設置費用込み)
4月からはドイツ全土で新しい法律が施行され、設置する家庭の経済的負担が減りました。設置する時の補助金はなくなりましたが、そのかわり家庭の太陽電池で生まれた電力は送電線を通して市が必ず買い取ることになりました。小さな太陽光発電所がたくさんの屋根の上にあると考えてみて下さい。カールスルーエだと、10平方メートルの太陽電池で年間約900kWhの電力が生まれます。それを市に売った分が家庭の収入となるわけです。

ドイツでは平均的な4人家族で、1年に約3000kWhの電力を消費します。太陽電池のある家庭でも、家で使う電力は1kWhあたり20ペニヒ(約10円)で市から買います。

2000年4月まで
2000年4月から
*設置する時4000マルク
(約20万円)補助
*余分な電力は無駄になる!
*設置する時の補助無し
*電力は市が高い値段ですべて買い取る:1kWhあたり99ペニヒ(約50円)
*家庭の経済的負担大
*約20基のみ
*長期で考えると家庭の負担減少
*年間約900マルクの収入
(約45000円)
*これから設置が増える見込み
家庭の太陽エネルギー利用
太陽熱温水器と太陽電池は単なる省エネではなく“より積極的な太陽エネルギーの利用”と言えます。思ったほど数が多くないのですが、普及をはばむ一番の理由は設備の値段の高さ。現在、太陽エネルギーの利用はとても高くつきます。市としては市民に補助金を払うより発電所で安く作った電力を利用してもらう方が経済的には得です。でも、太陽エネルギーの利用は二酸化炭素の発生が無い(設備を作る時はその限りではないけど)ので環境保全に役立つと考えられます。また、多くの人に環境意識を持ってもらうきっかけにもなるはずです。

実のところ、太陽熱温水器や太陽電池の設置は家庭にとっても経済的プラスにはなりません。設置費用分の利益を得るのにとても長い時間(30年以上)かかるからです。自宅に設置している人の話を聞くと、経済的利益があるか無いかは大きな問題でなく“限られた予算の中で、環境保全のためにできることをする”ことが大切なようです。

理想は <設置する家庭が増える−設備の価格が下がる−さらに設置数が増える−…> といった好循環。しかし、ドイツではこの1年で太陽電池の値段が15%上がったそうです。現実はなかなか思うようにいかないものですね。家庭の太陽電池ではありませんが、市が造った大型の太陽電池発電所(最大出力100kW)の発電状況をリアルタイムで見ることができます。もちろん発電は陽が出ている時だけ! (日本19時=ドイツ12時)

http://www.zkmsolar.stadtwerke-karlsruhe.de/sol.htm 
 
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