ドイツワイン街道

8月の終わり、ぶどう畑の中を一日サイクリング
< もくじ >
ドイツの夏休み
1年のうちこの日だけ車は通行止め
オンボロ自転車で挑戦
秋の味覚
120kmを走破!
一面に広がるぶどう畑

 

ドイツの夏休み

ドイツは州によって学校の夏休みの時期が違います。休みの期間を分散させて交通や休暇地の混雑を少なくしようという、なかなかいい知恵です。子供がいる家庭の親はこの時期に合わせて仕事の休みを取りますが、学校に通う子供がいない人は他の時期に休暇を取ることが多いようです。バカンスシーズンはヨーロッパ中どこも込むし、料金も高くなりますから。

夏に南フランスへ行ってきた友達に話を聞いたら、やはり食料品の値段も高くて東京にいるのと変わらないくらいだったとか。別の友達は、夏には休暇を取らず冬にまとめて取るそうです。そういうわけで、バカンスシーズンになると“街から人影が消える”ということはドイツではありません。

そんな夏休みの1日、ドイツ人の友人とドイツワイン街道を自転車で走りました。
 

1年のうちこの日だけ車は通行止め

ドイツワイン街道(Deutsche Weinsteasse)
ボッケンハイム 〜 シュバイゲン
私の住むカールスルーエ市はバーデン-ヴュルテンブルグ州のライン川沿いにあり、ラインの向こう岸はフランスです。ドイツ ワイン街道はお隣りのラインランド-ファルツ州にあって、ボッケンハイムからシュバイゲンまで約85km続きます。一本の道がずっと続くわけではなくて、30くらいある村々をつなぐ道をまとめて“ドイツ ワイン街道”と呼んでいるようです。毎年この日だけは、ワイン街道から車が締め出され自転車と歩行者の天国となります。名前の通り、道の両側に広大なぶどう畑が続き、自転車で走るのはとてもそう快でした。

この日はワイン街道沿いの村々で祭りが催され、全部で40万人もの人出があったそうです。自転車でワイン街道を走る人もいれば歩く人もいるし、村の祭りに来てビールだけ飲んでいく人もいます。
 

オンボロ自転車で挑戦

わたし達が走り始めたのはノイシュタットです。そこからドイツワイン街道の南の終点シュバイゲンまで約50kmを休憩も含めて4時間で走りました。自転車で走っていたのは子供から大人、老人まで実にさまざま。だいたいの人はごく普通の自転車に乗っていました。私の自転車は20年前の少々くたびれたものなので、長い下り坂でスピードを出すとどこかが壊れそうでかなり恐い思いをしました。

右手に広がるぶどう畑のさらに先には高さ2、300mの丘が続き、数kmごとに山城が建っています。そういう城は、今は廃虚かホテルやレストランなどになっていますが、それだけたくさんの領主がいたわけです。昔はかなり裕福な土地だったのでしょう。この地方の主な産業は今もぶどうの栽培とワイン造りなので、村にはワインの醸造所やワイン屋がたくさん並んでいます。

楕円形の巨大なワイン樽


秋の味覚

この日は通り沿いにある普通の家でも思い思いに店を開いていました。ガレージセールをしたり、自分で描いた絵を売ったり、子供たちが果物を売ってお小遣いをかせいだり。特にカボチャ屋が多かったけどなぜだろう? 食べるためではなく、もっぱら鑑賞用のようです。どこかから借りてきたベンチと椅子を並べ、飲み物やケーキを売っている人もいました。そういった店で、わたし達は一休み。

注文したのはノイヤーヴァイン(ノイ:新しい、ヴァイン:ワイン) とプラムのケーキ。ノイヤーヴァインはぶどうのジュースなのですが、店で売っているのと違うのはもう発酵が始っているところ。早い話、ぶどうの実を絞って殺菌せずにそのまま発酵させればワインになるわけで、このノイヤーヴァインは“ちょっとだけワインになりかけたぶどうジュース”です。絞ってから日がたつうちにだんだんアルコール度が高くなるので、いったいどのくらいのものなのか飲んでみるまで分かりません。実は思っていたよりアルコール度が高く、そのあとの道のりはかなりきつかった! 

ノイヤーヴァインはぶどうが収穫される時期、この地方でしか飲むことができません。これと玉ねぎパイがこの地方の秋の味覚です。秋にこの地方を訪れることがあったらぜ試してください!

1日だけのカボチャ屋さん ノイヤーワインと玉ねぎパイ 手書きの看板
通りのカフェで一休み

120kmを走破!

ドイツ ワイン通りの南の端シュバイゲンに着いたのは午後2時ころ。上り下りが多くて自転車を押して坂を登ることもありましたが、ここまではいたって順調でした。シュバイゲンはフランス国境に面したドイツの街で、私たちはいったんフランスに入りライン川沿いをカールスルーエまで帰ることにしました。

数年前からEU内の国では国境の税関が無くなっています。税関の建物と、国境を示す看板は立っていますが車で走っていれば気付かないくらい目立たないもの。あっという間に国境を越してしまうというのは、とても不思議な感覚です。

そこから電車で帰ることもできたのですが「カールスルーエまで20kmくらいだから、自転車で帰ろう!」という友人の言葉にだまされてそのあとが大変でした。確かに地図の上で直線を引けば20kmかもしれないけれど、道は曲がりくねってます。ライン川にはそうそうたくさん橋が架かっているわけではなく、ライン川に出てから橋のあるところまで10キロ近くも走りました。

そんな具合で、シュバイゲンからカールスルーエまで60km以上も走る羽目に。毎日自転車に乗ってますが、特別のトーレーニングはしていなかったので、最後は足がけいれんを起こしそうになり大ピンチ。この日は結局、120kmを8時間かけて大走破! 何事も日頃のトーレーニングが大切ですね。

のぼり坂は大変なので、みんな自転車を押している
自転車専用の車両
列車に自転車を乗せてノイシュタットまで行きました
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