日本ブーム2   2002/05/04

1. 日本食レストランで高校生の食事会

市内の日本食レストラン「将軍」で行われた高校生の食事会に行ってきました。社会科で日本について勉強したフリードリッヒ高校の2年生が、最後の授業として日本食レストランで食事をすることにしたそうです。先生が街の独日協会に「日本のことを紹介してくれる日本人はいないか?」と問い合わせたのがきっかけで、私が参加することになりました。

日本食レストランにて
金曜のお昼、日本でいえば高校2年生(16歳)30人が将軍にやって来ました。最初に出てきた味噌汁を前に、どうやって食べるべきか一思案。半分くらいの生徒がスプーンで食べ始めます。そこで、私が箸を持ち「ズズ〜」と味噌汁の飲み方を教授。日本食を食べたことがあるか聞いてみたところ、数人が経験済みでした。

お寿司に舌鼓
箸の使い方がうまいと思ったら、クラスで練習したのだそうです。メニューはマグロのにぎり、サーモンのにぎり、アボガドののり巻きなどでしたが、数人は“一口”も食べませんでした。エキゾチック(?)な食べ物、特に生の魚に抵抗があるようです。若い世代なのに「食べず嫌い」がこれほど多いのには、ちょっとびっくり。寿司の後にチキンカツが出てきましたが、こちらはベジタリアン以外みんな食べていました。
 

授業では日本の経済、地理、社会などについて計10時間くらい勉強したそうです。特に東京について詳しく勉強したようなので知っていることを尋ねると、「東京はゴミ問題が深刻、道が狭い、空気が悪い」、「日本は津波や地震などの自然災害が多い」等の答えが返ってきました。新聞・雑誌記事などを主な題材にして勉強すると、このようにネガティブでセンセーショナルな部分がクローズアップされがちです。

日本の雑誌を見せたら、ある生徒がゲーム機の写真を指して「これは何か?」と聞いてきました。「コンピュータゲーム」と答えたのですが、彼が聞きたかったのは「どこのメーカーか?」ということ。写真はパナソニックのコントローラーでした。先日、ドイツのある高校で、退学処分となった高校生が教師、生徒、警官をピストルで射殺する事件がおきました。それに関連して、暴力的な内容を含むコンピュータゲームが社会問題化しています。

さて、この日の参加者は先生も含めてまだ誰も日本へ行ったことが無いそうです。日本の中で行きたいところを聞いてみたら、TOKYO、HOKAIDO、KYUSHU、SHIKOKUなどの答えが返ってきました。高校に限らず、小学校や中学校でも多くのクラスが社会科のテーマで日本を取り上げています。私がこういった授業に参加するのはこれが2度目で、前回は小学校の社会科の授業でした。これは主観的な数字ですが、1年を通して20クラスに1クラスぐらいの割合で日本をテーマにした特集授業を行っていると思います。世界には百数十の国があるわけですから、ドイツから1万キロ以上離れた日本がこれだけの関心を持たれるのは驚くべきことです。

2. カルチャーセンターの茶道教室

茶道教室
市が運営するカルチャーセンターの茶道教室です。今日来た生徒は計7人。ドイツ人が6人で日本人は1人。上級生5人、初心者2人でした。ドイツ人が茶道を習い始める動機は「(時たま開かれる)茶道のデモンストレーションを見て、関心を持ったから」「日本文化に興味があるから」「メディテーションの一つとして」など様々。習い始めて、5年、10年と続くのは1割弱でしょうか。
 

外国に対する関心の高さは、その国の経済力と強い関連があります。日本の経済が好調だった頃、ドイツはまさに日本ブームでした。それでいくと、これからは中国ブームでしょうか。しかし、日本が経済的な強さを失ったにもかかわらず、まだこれだけの関心をもたれているのは非常に興味深いことです。ドイツ人の持つ日本のイメージは現状と開きがありますが「先端技術を持ちながらも伝統文化が残っている国」です。

ドイツにとっての東アジアは、距離だけでなく文化やメンタリティーの面でも非常に遠い存在です。情報を得ることも難しいですし、その量もあまり多くありません。他の東アジアの国々とドイツでは違いが大きすぎますが、エキゾチックでありながらも、かなりアメリカ化されている日本はドイツ人にとって「とっつきやすい国」なのかもしれません。

 
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